Kotaro Togawa chapter1

どうしてパジャマを作り始めたんですか？

初期衝動としては、パジャマでゴロゴロするのが好きで始めたようなところがありますね。

家大好きデザイナーだったんですね。

そうです。家で過ごすのが好き。
ゴロゴロするのが大好きで、他のを仕事しながらパジャマ作りをやってました。
パジャマだけを仕事にできるようになったのは、ここ２～３年なんですよね。
まだまだこれからなんですが、それを仕事にしてるからには、
皆を代表して「パジャマで寛ぐ」ことを突き詰めていかないといけないと思うんです。
ありがたい事で、よくフィールドテストと称して家でゴロゴロしています（笑）。

でもゴロゴロしてるだけだと健康にも良くないですし、
ただ時間が長いのではなくて、ちゃんと向き合ってより質の良いゴロゴロにしなきゃいけないなって。
会社勤めしている方々をはじめ、いろんな人たちのオフの時間に気に入ってもらえるような
ナイスパジャマにしていかないとなと。

家で寛ぐ時間って大切ですよね。

どんなにバリバリ忙しくて働き盛りの人でも、健康があって成り立ってるじゃないですか。
いろんな体質の人がいらっしゃるけど、
多くの人にとって寝ないっていうのは体にしんどいんじゃないかな。
少なくとも僕はそうなんで。

僕らは寝たいために寝てるというよりかは、起きてる間により良いパフォーマンスをするために寝るわけで。
そういう意味でも眠りはどこか縁の下の力持ちみたいな役目があって、大切な時間だと思います。

けど、ダラダラして、パジャマのままずーっといるのはご法度とされる。
タブーとされるとこがあるけど、とはいえ「それ好きじゃん俺ら」というのもあったりする。
そこって秘め事的にあんまり公にはしないけど、「実はみんな超好きな時間じゃない？」みたいな。

普段の仕事はどんなルーティンなんですか？

ずっと家にいますよ。
夫婦二人だけでやってるメーカーなので、従業員がいるわけでもなく、家が事務所を兼ねてて、
パソコン作業から梱包から発送まで全部家でやっちゃうので、家にいる時間は人一倍あります。
家と仕事場を分けるって方法もあると思うんですけど、僕らは今のところ、このバランスでやってますね。
子どももまだ小さいし、昼は子どもたちの面倒をみて、
デザインの仕事はだいたい夜にする生活なんです。

家が中心にあって、デザインのお仕事をされてるんですね。

そうですね。今はなるべくこのやり方で、できるだけ多くの人たちに届けれたらなと思います。
取り扱い店舗によってそれぞれのターゲット層があるかとは思うんですけど、
作ってる僕らとしては、寝る人みんなに向けて表現していきたいという想いです。
若い人もおじいちゃんおばあちゃんも、みんな寝るから。

パジャマの魅力は？

寝るために寝る恰好に着替えるってのが、なんともマヌケでいいんですよ。
愛すべきだなぁって。それが許される状況それ自体が、ほんとに味わうべき幸せなんだなぁって。
布団に入るときに、「はあ～戻ってきた！」みたいな幸せ感って、
日常の目と鼻の先にあるご褒美だと思うんですよね。
みんなのそれぞれの生活にある、幸せの形なんだと思います。

パジャマに着替えることで切り替えてますよね。

出かける時の恰好に着替えるのと同じかそれ以上に効能があって、
「もうパジャマに着替えたんだから今日は絶対外に出ないぞ」みたいな気持ちにもなりますよね。
寛ぎやすい恰好に着替えることは、睡眠導入の儀式としての役割もあると思います。
習慣としてパジャマに着替えて歯を磨いてるうちに、知らず知らずのうちに睡眠に向かっていく。
パジャマはそういったスリープセレモニーの入り口として、最たるものでもあるんじゃないかな。

ファッション性は求められますか？

視覚的な役割も当然あって、自分が着てる姿を鏡で見ることもあるし、
商品としてハンガーにかかった状態で魅力を放ってないとお客さんの手に取ってもらえないというのもあるので、
そこはちゃんと着心地とデザインの両方を突き出していかないといけないと思っています。
袖を通すという時点で、どうしたってファッション性が付きまとってくるわけで、
だったら気持ちが高揚する方に作用したい。
そのためにも、上下で着たときのシルエットを大切にしています。
あと、アーティストの方とコラボレーションしたパジャマの表現も続けてやっています。

パジャマへのこだわりは？

天然素材しか使わないと決めています。
パジャマって、着てる時に一番長いのは寝てる時間。
服なんだけどマインドに訴えていかないといけないですよね。
それを突き詰めていくと、眠りとの相性は天然素材がいい。
形もストレッチを効かせずともいろんな体勢に合うように、締めつけがなくゆったり設計している。
とはいえ、僕とチューソン（妻）でやってるのもあって、
つい僕らに調子のいいサイズ感になっちゃいます（笑）。