自転車が好きな人の中には『できるだけスッキリ乗りたい』というニーズがあるんです。
たとえばハンドルまわりだと、ライトとベル。
どちらも必要なものですが、ちょっとゴチャゴチャ載ってるな、って思いませんか?
そこでライト(補助灯)とベルをひとつに集約して、ハンドルバーに沿うようにデザインしたのがこの『ライトベル』です。
単にシンプルなだけじゃなく、つけることでちょっとしたアイキャッチになることを狙っています。
従来のライトのサイズや形状は、結局はバッテリーの大きさによるものなんですね。
『ライトベル』ではこれを充電式(スマートフォンなどでおなじみの micro USB タイプ)にして小型化しました。
また、充電式にしたのは、持ち歩いて繰り返し充電して使っていただくことで、
製品と長くつきあってほしいという願いもこめています。
自転車用のベルは、かなり長いあいだ進化がなくて、今もだいたいお椀型ですよね。
でも、音が鳴るのならお椀型である必要はないんじゃないか、
ハンドルバーに沿わせるようにつくれるんじゃないか、というのが出発点です。
それから、自分たちで鉄パイプを切ってみたり、社内で金属加工をお願いしたり、いろいろと試作をはじめました。
OGKには昔『OGK baby』っていうラインがあって、子ども向けの鉄琴をつくってたんですよ。
その鉄筋のサンプルが社内にあったので、音板をひとつひとつはずして、ハンドルバーに沿った形に曲げて、
どんな音が鳴るのかを試していったんです。
自転車用のベルは音の大きさがJIS規格で定められていて、これをクリアするためにはある厚み、
ある質量が必要だということがわかりました。
でも、ベルの音板を大きくするには、ライト側の充電池を小さくしないといけない。
プロトタイプをいくつもつくって、やっと、連続2時間点灯できるライトとJIS規格を満たす
音量のベルが両立するバランスを見つけたんです。
『モバイルスタンド』といって、持ち歩く自転車用スタンドです。
それが、『スタンドをつけたくない』っていうかた、結構多いんです。
本格的なロードバイクなのでスタンドをつけないかたもいますし、
街乗り用のシティ車でもつけていないかたがいらっしゃいます。
スタンドは基本的には別売りのものなので、
せっかく気に入ったデザインの自転車を買ったのに似合わないものをつけたくないな、
ってことなんだと思うんですが。
実際、スタンドなしでも案外なんとかなるのですが、帰りにちょっとコンビニに寄るときとか、
立てかけられる場所がないときとかは困りますよね。
以前から、スポーツ車向けの簡易着脱式スタンドというのはありました。
でも、機能優先で金属がむき出しのものだったり、
最初に自転車側に工具でアタッチメントをつけてから利用するものだったりして、
ちょっと優しくないな、って。
ありがとうございます。
これはアルミにラバー系の塗料を吹きつけてるんです。
IQOS(加熱式タバコ)と同じ塗装なんですよ。
ああいう、ポケットに入れていても馴染む手ざわりの自転車用品をつくりたかったんです。
MUNIの製品は触ったときの質感を重視しているんです。
そうですね。うちの職場はそのあたりにいつも10台くらい転がってるんで(笑)、
ラフでモックをつくって、とりあえず手当たり次第につけてみました。
たぶん、マウンテンバイク用のカーボンのものすごい太い
フレームとかでなければ、たいていの自転車で使えるはずです。
支持棒を伸縮させる機構をつけたことで、小径のタイヤの自転車でも安定するようになっています。
また、街なかだと自転車を置く場所がちょっと坂になっていたりすることもありますが、
それも棒の長さを調整すると安定します。
ステー側のロックも三段階あるので、たとえばクロモリの細いフレームでも
しっかり固定できるようになっています。
あと、これは裏話ですが、試作の過程でモバイルスタンド兼ロックにできないか、
という案があったんですよ。
カギの役割もつけてみよう、と。
でも途中で、タイヤを回しながらうまいことやったら知恵の輪みたいに抜けちゃうことがわかって、断念しました。
知らなければ絶対気づかない動きなんですが。
いや、むしろあまり『かわいい』だけにならないようにしてるんです。
今の女の人の生き方とかもそうだと思うんですけど、かわいいだけじゃないっていうか、
ちょっとエッジのあるほうが今っぽいですよね?
そうですね。
カラーも同じで、今発売している製品もパキッとした原色はつかわないようにしています。
ブラックも、厳密には真っ黒ではなくて『墨色』という色なんです。
グレーは『石板色』、イエローは『辛子色』、ブルーグレーは『浅葱鼠』で、どれも日本古来の色ですね。
もうひとりのMUNIのデザイナーの中村さんと二人で、朝もやとか夕暮れとか、
アンニュイな時間帯に映える色味にしたいね、と相談して決めました。
MUNIの製品を通じて自転車に愛着をもう一度取り戻してほしい、というような想いがあるんです。
自転車パーツって、機能だけで見たらどれでもいいわけで、
ママチャリならば最初についてくるものだけで十分、という人が今は多いと思います。
しかも今後、シェアバイクが定着したら、自分がわざわざ買う自転車ってなると、
自分の気に入った自転車じゃないと買わなくなるはずです。
はい。海外を見たらそんなことないんですけどね。
おしゃれのために乗る自転車、愛着を持って『選んで乗る』自転車っていうのが、日本では失われつつある。
その中で、MUNIは『選んで乗る』『選んでつける』
街乗り自転車用品になれたらいいな、という理想を持っているんです。
『普通のママチャリを買うけど、ライトだけはやっぱりこれをつかいたい』
というワンポイントだけのアクセントになるような商品も出していきたいな、って。
『MUNI』って名前は、唯一無二の無二とかユニークのUNIとかをかけたことばで、
「今までにないひとつのもの」っていう意味を込めています。
今後もそんな製品をつくっていければいいですね。