COLUMN

Hatsuki Sugai chapter2

Hatsuki Sugai chapter2

菅井さんは自転車には乗りますか?

私の叔父が自転車屋をやっています。
すごくマニアックな叔父さんで、初音ミクとコラボした自転車をオリジナルで作ったりとか、結構ニッチなんですよ。
自分のやりたいことを突き詰めて、自転車とオタクカルチャーをリンクさせているから、
私としてはすごく新しいなと思っていて。
自転車の流行りも時代の流れがあると思うので、オタクの人が乗りたいような自転車のモデルがあるのって、
「今」だなぁと思っています。
なので、叔父のことをある意味最先端だと思って、私はおもしろがってみています。

また、夫がグラフィックデザイナーで、家で仕事をしているんです。
「何か運動をしないと」ということで、「じゃあ打ち合わせに自転車で行こうかな」と言い出しました。
その自転車は、叔父さんのところでボディやタイヤ、サドルなどパーツを選んで作ったものです。

駅もバス停も近くて、自転車に乗らなくてもいい環境に住んでるけど、また自転車に乗ってみようかなと思っています。
そうしたら、行けるところも広がりますよね。

ほかにものを買うときは、どんなこだわりがありますか?

「どこで買い物すると一番テンションが上がるかな」と考えてみると、下町のとある洋服屋さんなんですよ。
リサイクルショップみたいな感じです。
問屋からの流れものとか、いろんな人種の人の服とかがあって、掘り出すのがすごくおもしろいんですよ。
奇跡的なものが見つかります。
作家物の一点物も好きですが、自分が見つけた掘り出し物を、さらに自分で手を加えて着るのが好き。それにアガる。
自分の手を加えて最終的に自分だけのピースにするのが好きなので、出来上がったときはこの上ない快感ですね。

そこまで手をかけて想いを込めたものは捨てられないですよね。

捨てられないですよね〜。でもそもそも、捨てるためにものを買ったことってほとんどないと思う。
100均のものですら一生使う気で買いますよ。
キャンプで紙皿を使うくらいは正直あるけど。

消耗品として買わないということですね。

そうですね。消耗品って考え方が嫌だし、
そういうために生み出されたものたちはやっぱりダメになるのが早いからかわいそう。

手元に来たら最後まで。

そう。だから、ものが壊れるのが本当に嫌いで、悲しい。
壊れても何とかして使いたいと思います。
消費社会なんて社会が作ったシステムなので、乗らなきゃいいだけですよね。

ものを作る立場からすると?

今って日本の至るところでものを売るための商業施設を作っているけど、「もういいんじゃない?」と感じます。
「最先端」という価値観より、物づくりの丁寧なストーリーと結びつけていったほうが生産性があると思います。

現在、新型コロナウィルスの世界的流行でさまざまな影響があります。
これからどんな働き方をしたいと思いますか?

今はコロナの影響を受けて、人はどう立ち向かっていくのかと向き合っている最中ですよね。
次の時代をどう生きようと考えられるかによって、大きく違ってくると思っています。

「tokone」のベースでもあるのですが、「一人では思い浮かばないことが人といると生まれる」と思っているので、
アーティストとしゃべっていたら盛り上がって、「じゃあやってみようか!」って、
自分だけじゃ生まれない新しいことが生まれる。
今はコロナの影響で直接的になかなか人とは集まれないけれど、だからこそ集まれることの大事さが分かりました。

「人のコミュニケーションの中から新しい何かが生まれる場」は直に人と逢えなくても作れると思うので、
人との交流をメディアを通して作ったとして、その後は持ち帰って、次は自分と向き合い作り出す。
「アウトプットする時間」と「自分に向かいインプットする時間」とをメリハリつけてもっていられるといいですよね。
人との時間も、自分の時間も丁寧に作れたら良いなと思っています。

何でも潤沢にある時は大事なことに気づけないかもしれないけど、こういうときだからこそ気づけるものだと私は思っています。

インタビュー後には、タイを拠点にしたブランドmuzina「One Mask One Soap」プロジェクトをtokoneとしてディレクション。
他の作家とともにマスクのデザインも手がけた。
COVID-19感染拡大に対するプロジェクトで、ファブリックマスクひとつの購入ごとに、タイのローカルエリアに石鹸がひとつ配られる。
菅井 葉月

<プロフィール>

菅井 葉月
「Wearable Art」をコンセプトに、自己解放へと誘うLegwear brand「tokone」のcreative director。
「kanaiyamamoto」のArt directorを経た経験を活かし、企業イベントの企画・ディレクションや、義足のアスリート達のfashion showのスタイリングなど、活動は多岐にわたる。

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