COLUMN

Midori Kawano chapter2

Midori Kawano chapter2

プロダクトに関わるお仕事をされていますが、世の中にあるプロダクトについて、
関わり方へのこだわりはありますか?

結構あるほうだと思います。
基本的に好きなものや必要なものだけを買います。

どういうものを好きと感じて買うんですか?

洋服とかは「あ、これ自分が買う服だ」っていう感覚があるときとか。
「これしかない」ってとこまで行き着いたら迷わず買います。
あと、欲しいと思っても迷った時には、3日待って変わらず欲しければ買います。

どんなものに対しても?

そうだと思います。
車とか自転車は、気に入ったものに乗りたいですよね。
ずっと乗るんだし、ちょっと嫌だなって思ったやつは買わないほうがいいじゃないですか。
自転車は以前に全部のパーツを自分で選んで、真っ赤なものを買ったの。
今は乗る機会が減ったんですけど……。
家のすぐそばが駅だから、電車かタクシーになっちゃう。
こういうところ(インタビュー場所の原宿)だと、停めるのも大変だしね。
あと、一時期は調味料とかもこだわってた。
「コレステロールが気にならない!」とか書いてあるパッケージが嫌だなと思ってて。
でもやりすぎるときりがなくなって、若干目をつむるようになりました(笑)。

買ったものは長く愛用しますか?

長いと思います。
買ってよかったのは、ジャスパー・モリソンのグローボールっていう照明です。
ずっと使っていきたいものを買ったなと感じています。

気に入ったものはリピートしたりも?

ペンはずっと同じのを使ってます。
パイロットのVコーンっていうペンがあって、もう何年も使ってる。
1~2年に1回、まとめて10本くらい買っておきます。

コスパは気にしますか?

何度もリピートして使うものは気にするけど、一度買ってずっと使うものだったら気にしないです。
4万円と5万円のもので迷って、5万円のもののほうが欲しいのに4万円のものにした場合、
「あっちにすればよかった」って後悔することはあっても
「あの1万円を使わなきゃよかった」って後悔したことはないから。

所有することには慎重になりますか?

ものは物質だから、捨てる時が大変ですよね。
たとえば、部屋に植物がほしいけど、枯れた観葉植物の土の廃棄方法が意外と難しくて困ります。
だからなるべく枯れにくいものを選ぶとかですかね。
2週間くらい空けることもあるし、植物は「強いか強くないか」が基準になって、
多肉系とヤシ系を選びがちです。

では逆に捨てることは?

断捨離な気持ちで捨てるときは、普通だったら60点以下のものを捨てるんだけど、
それを80点に引き上げたりとかすることも、たまにはある。
けど、ひとめぼれしてピンときたものは、とっておくほうです。

洋服も今年着て、来年や再来年は着なくても、
3~4年したら「あ!これ着れる」って自分でリバイバルすることがある。
なので服を整理するときは、その予感があるものはとっておきます。
単純に、着倒したものは捨てます。

ピンときたものは、やっぱり大事だと思います。
自分が好きなものの資料でもあるじゃないですか。
好きなものに囲まれているほうが、その世界観になっていくのかなって思ってるところがあります。

河野さんの世界観についてもう少し教えてください。

私はたぶん「宇宙感や、普遍性があるもの」が好きです。
キャラクターものとかはあまり興味がなくて匿名性があるものに惹かれることが多いかも。
でも逆に、自分にはなかったなって思って買ってみても、それによって自分が変化することもある。
だから、絶対買わないって閉じちゃうことはなくその境界はゆらゆらしています。

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NOWHAW

<プロフィール>

河野 未彩 Midori Kawano
視覚ディレクター。神奈川県横浜市生まれ。06年多摩美術大学プロダクトデザイン専攻卒業。音楽や美術に漂う宇宙観に強く惹かれ、2000年代半ばから活動を始めた。
グラフィックデザイン/映像/プロダクトを媒体とし、CDジャケ・MV・空間演出、ラフォーレ原宿の広告・ラフォーレミュージアム「PHENOMENON:RGB」展・Vogue FNO「LANVIN」の展示など活動は多岐にわたる。
作品集「GAS BOOK34 MIDORI KAWANO」を GAS as Interfaceより刊行。
パーソナルプロジェクトとして、影が彩る照明「PGB_Light」を制作。2020年3月に発売。
https://www.md-k.net/

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