COLUMN

Nayo Higashide chapter2

Nayo Higashide chapter2

なぜアート関係の道に進んだんですか?

大学で美術史を専攻していたんですけど、
その頃はアート関係の仕事をしようとは思っていませんでした。
フランスにいた時に、まわりの友達もやっているし、
せっかくだしと思ってインターンをしてみたのがきっかけです。
インターンについての問い合わせを近代美術の人に送ったら、全然違う人から電話があったんですよ。
その人が現代アート部門の方だったんです。

現代アートのことは全然わけもわからなかったけど、とりあえず面接に行って。
現代美術のことを聞かれてもちゃんと答えられないし、
すごい圧迫面接をされて、落ち込んで帰りました。
泣かされはしなかったけど、それくらいの勢い(笑)。

Nayo Higashide chapter2

圧迫面接……!!

でもなぜか、採用されたんです。
面接では、「もっと勉強しなよ」(皮肉な感じで)って帰されたくらいだったのに。
あとから聞いたら「すごいやる気がある子が来た」ってまわりに言ってたらしくて。

今思い当たるのは……その人が自分が開く展覧会の招待状をくれたんです。
せっかくもらったので行ってみたけど、全然理解できなかった(笑)。
でも分からないなりに、感想を書いて送ったんです。
礼儀のつもりだったんですけど、それに「やる気」を感じたんですかね。

それが現代アートに携わるきっかけになるとは!

そのキュレーターはいろいろな世界を見せてくれて、
「自分もキュレーターになりたい」と思うようになってそのままフランスで働きました。

東出さん自身も現代アートのコレクターなんですよね。
どのように購入していますか?

ギャラリーとアートフェアに行きます。
買う気がなくギャラリーに行っても、ギャラリストさんの説明を聞いて、
思わず買ってしまうとかはありますね。
もちろん「買いやすい値段」のものに限りますが!
家では飾ったり、しっかり箱にしまって保管しています。

先ほどお金の話がありましたが、アートを投資対象として買う人もいるんでしょうか?

私自身は作品を買っていて、気持ち的に「売れるのかな?」と思うことがあります。

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手放せないということ?

数億円に変わっているとかだったら別だけど(笑)、
やっぱり作品への思い入れができませんかね?
ずっと家のなかで一緒に暮らしてきたわけだし。
作品を売る、といっても単純じゃないんじゃないか、と思います。

ものとしては多くなりますか?

「どうするか問題」はありますね。
作品を買っていくと、かさんでいくので。
図録とか本も多いですね。

アートにまつわるものが多いんですね。他のものは買わないですか?

あまり買わないです。
断捨離も好きです。
でも、展覧会のチラシは捨てられないんですよ。
置き場所が決まってて、膨大な量が積みあがってます。
フランスにいたときは全部溜めてて、
これで作品をつくってもらおうと紙を使ったアーティストに依頼したこともあります。
「作品にしたら落ち着くんじゃないかな」って。
結局サイズの関係で出来なくて、代わりに違う作品をもらって、
預けていたチラシも引き取ってきました。
自分でチラシを作ることもあるので、苦労が分かるじゃないですか。
それもあって捨てられないのかも。

自転車は持っていますか?

持ってたんですけど、マンションに撤去されちゃいました。

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なんと!たしかに、マンションの管理人さんが住民の自転車に貼り紙をしておいて、
「期間内にはがされていなければ所有者がいないと見なす」
みたいなことありますよね。

そうなんです。
民泊が流行ったときに駐輪場所が乱れて、張り紙をしていたらしいんですよね。
もう文句を言えないくらい後になってから気づきました。
しばらく乗ってなかったけど気に入ってたのに……。

自転車を持っていたときは、「銀座まで自転車で行けるかなー」とか夢が広がりました!
自転車って行動範囲が広がるし、行動自体も変わりますよね。
いつも行く道が変わります。
それは自転車に乗っていた時に感じたことでした。
自転車がなくなってあまり行かなくなった道があります。
春先には桜が綺麗で、フレッシュネスバーガーがあって、
よくお持ち帰りしてました。
いまは想像しています(笑)。

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<プロフィール>

東出 菜代 Nayo Higashide
慶應技術大学文学部卒業後、渡仏。パリ第四ソルボンヌ大学修士号、エコール・ド・ルーブル博物館学課程を修了。
国立近代美術館ポンピドゥー・センター現代美術部門のインターンを経て、インディペンデント・キュレーターとしてパリで活動。
帰国後、Office de H(オフィス・ド・アッシュ)を設立。アートに特化したクラウドファンディングサイト「マイクロメセナ」の運営をはじめ、キュレーション、アーティストマネジメント、執筆に至るまで、活動分野は多岐に渡る。
多領域を横断するアートプロデュースを得意分野とする。

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