COLUMN

YUKI chapter2

YUKI chapter2

YUKIさんは美大出身なんですよね。
最近のアーティストとしての活動は?

道路の写真を撮りためていて、
機会があったら発表したいなと思っています。

道路が気になるんですか?

ヒビとか歪みが気になりますね~。
道路を死ぬほど見てるので、自転車から見える風景として
道路が持ってる表情を残しておこうと思うんです。
特にオリンピックが決まってからは、常にどこかの道路を壊して、
新しくて綺麗な道をつくっていますよね。
自分が知ってる道がどんどんなくなってる。
「新しくて綺麗であればいいのか?」って思う。
「道路ってこんな風に表情があるよ」というのを、自分なりに残そうとしています。

世間も常に新しいものを探しているという感じですよね。
古くていいものもたくさんあるというのを忘れたくない。
自転車だって10年以上乗っています。
壊れたら直して乗ってるし。
今乗っている自転車のビルダーさんが病気というのもあって、
もう二度と作れないのかもしれません。
ものを大事にしたいですね。

服なども?

それは私のなかでタイムリーです!
今後も服を量産していくと資源が足りなくなるから、古着を着るようにしています。

今日着てるのも全部古着なんですよ。
トレーナーは友達がリメイクして着ていたものを、その人から買いました。
インナーは福岡のメッセンジャーの子にもらったものです。

自転車について教えてください。
何を基準に選んだんですか?

高い自転車って軽量で楽なんですけど、壊れやすいこともあります。
ある程度丈夫で、ある程度軽いものがいいかな、と。

そういえば、 ウェブサイトでオリジナルグッズを販売してますよね。

「交通の神様」というお守りです。
同僚も含めて、事故はたくさん見てきました。
毎月誰かが事故に遭うという怖いこともありましたね。
そういうのを見ていてお守りを作りたかったけど、辛気臭いのも嫌。
笑えるくらいのがいいなと思ってたら、ある日居たんですよ。

何がですか!?

道の隙間にあったコーンにビーニー(キャップ)がかぶさっているのを見て、
「あれ?交通の神様じゃない?」と思って。
コーンが人みたいというか、「神様」って思えた。
落とし物って、絶対コーンにかぶさってるんですよ!
それを見かけたら、全部写真におさめてるんです。
それも今度集めて展示したいんですよね。

自転車は簡単に乗れるから安易な気持ちで乗りがちで、
保険に入らずに乗ってる人もいます。
お守りを持っていれば事故らないというわけじゃないけど、
まずは安全を意識するところからだと思うんです。
でも説教くさい感じでやりたくないから、
「交通の神様だよー」とか言って伝えています。

私はテクノが好きでときどきDJもしてるんですけど、
特にクラフトワーク(ドイツ出身の電子音楽グループ)
のファーストアルバムが好きなんです。
そのジャケットにコーンが描かれているので、シールはそれをオマージュしました。

DJもされてるんですね。

いつの間にか自転車にハマったんですけど、
以前は音楽でやっていきたいと思ってたんですよ。
「ミニマルミュージックは自転車に近いものがある」
と言ってる人もいましたね。

なぜですか?

自転車ってずっと同じ動きじゃないですか?
トランス状態になっていくんですよ。
それが近いのかなと。

YUKI chapter2
YUKI chapter2

<プロフィール>

武蔵野美術大学卒業後、デザイナーを経て、2005年よりメッセンジャーの仕事に就く。
これまでに世界各国のメッセンジャーレースにて上位入賞、ヨーロッパ3,000km走破、HÜBNERカレンダーのディレクションをするなど、活動中。
Yukhinx名義では、メッセンジャーとして培ったことを作品に落とし込んで発表している。

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