COLUMN

2blks chapter1

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アートユニットとしてどうやって活動しているんですか?

石部奈々美さん(以下、奈々美):はじめの1~2年は一緒に制作してたんだけど、遠慮がありました。
「歩み寄りで2人が納得するスタイルで」ということでやっていたんです。
でもまったく違うテイストだったから、
お互い「自分の思う絵を描きたい」とストレスがたまるように。
それで1人ずつ描くようになりました。
お互いの作品についても、最初は「どう?」と聞いていたけど、
2人とも「その人の作品じゃなくなる」という感覚ができてきて、
「やめよ」って。
制作途中の作品は見せないし、
相手のも見ないようにもするし、制作のスペース自体も変えました。
石部巧さん(以下、巧):意見に引っ張られないようにしようってね。

2人でやっていくためにスタイルを変えてきたんですね。

巧:結婚したときに、「ちゃんと稼がないと」と思って就職したんですよ。
そうしたら、20年くらい出てなかった喘息とアトピーが出てきた。
やっぱり無理なことはしないほうがいいなと思って、また絵を描きはじめました。
奈々美:いきなり就職して、「描かない」と言われたときは、
こっちも戸惑いました(笑)。
私だけ描くというのもね。
スタイルを合わせなきゃいけないのかなと思いました。
活動をまた始めてくれてよかったです。
一緒に暮らすって難しいこともありますよね。

その後、亀戸アートセンターをオープンしたのが2018年。
場所をつくろうと思ったのは?

奈々美:前に2人で住んでた家にガレージがあったんです。
けど車を持ってないので場所がもったいないのもあって、
ギャラリーをやったらおもしろいかなと思って始めてみました。
自分たちがつくったものをすぐ展示できるといいなって。

巧:知らない作家にも会えるしね。
それで、引っ越した後もどこかいい場所がないかなと思ってたんです。
彼女(奈々美さん)が不動産サイトを見るのがすごく好きで、
ここを見つけました。
多分もとは倉庫ですね.
奈々美:前の家は賃貸で住んでて、自分たちの家賃だけ払ってる感覚でした。
だから展示をやって売れなかったとしても、
時間はとられたけど金銭的なリスクはなかった。
だけど別の場所を借りて、
お金を払っている状態で他の作家さんに展示をしてもらうとなると、
人を呼ばないとまずいなという気持ちがあります。
ギャラリーの大変な部分が見えてくると、個展をやるって大変だなと感じますね。

ギャラリーを続けるモチベーションは何でしょうか。

奈々美:彼は別でも働いているけど、私は引っ越してアルバイトも辞めて、
世の中とのコミュニケーションの場所を求めていたというのはあるのかなと。
制作にのめり込んでいると、世の中が見えなくなってくるように感じるんです。
バランスをとるために外の展示を見に行ったりして
外へと意識を向けるうちに、
前にやってたギャラリーをやってみようと思いました。
巧:僕は、ギャラリーに入れば無料で絵が見られるとか、
絵が買えるというのを知ってる人が少ないので、
気軽に来られる場所になるといいなと思っています。
警戒してなかなか入ってこないんですよね。
白い壁だし、何かの事務所みたいに思うのかも。
買う・買わないは別にして、
せっかくだからいろんな人に作品を見てもらいたいですね。

アーティストが運営するスペースが増えてますよね。

巧:(ギャラリーをやっているアーティストと)話をすると、
目を向けてもらうのが難しいという同じ悩みを抱えています。
奈々美:駅から離れているギャラリーも多いんですよね。
うちも平日はなかなか難しくて、それもあって21時まで開けています。
場所だけの問題だとは思わないけど。
巧:けど、見たかったら来るんじゃないかなと思ってるんです。
奈々美:そう、ツイッターってすごいですよね。
前に、いつの間にかツイートされてて、
若い子がいっぱい来るということがありました。
おもしろいことがあったらどこでも行く、という人がたくさんいるんだなと。

作家活動とギャラリー運営はどれくらいの比重ですか?

巧:自分の展示とかやることは先に決まってるので、
それに合わせて動いてますね。
奈々美:はじめは勢いよく
「展示期間中は休みなしで」と思ってやってました。
でも平日はそんなに人が来ないし週末だけでいいかな、
となり……今はひとつの展示を木~日×4週末でやっています。
月~水は自分のことをできる状態だけど、
はじめのうちはそうもいかなかったです。
やっと休みをとるようになって、今はここで制作をしています。
私はリズムをつかんでスイッチを変えるのが難しいんですよ。
集中してぱーっとやりたいタイプなんです。
でもみんなうまくやってるから、
なんとか自分も切り替えられる仕組みをつくっていこうかなと思っています。

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<プロフィール>

2blks / ツーブロックス
石部巧、石部七美 a.k.a.chappy からなるアートユニット。
それぞれが絵描きとして活動しながら二人でしか表現できないアンバランスなバランスの世界を追求している。
2018年アートギャラリーと喫茶&酒場スペースを併設したオルタナティブスペース亀戸アートセンターをオープン。

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