COLUMN

Okada Miyuki chapter1

Okada Miyuki chapter1

久しぶりに日本に戻ったと聞きました。

まだ日本にいるのが変な感じです。
イギリスに2年、そのあとオランダに12年いました。
日本で美大にいた頃に仕事を始めて、
卒業後すぐにデザイナーとしてフリーになってうまくいったんです。
29歳の頃には、ある程度日本の生活に満足していたので
ずっとしたかった留学をしてみました。

オランダではどんな仕事を?

日本との仕事が主でした。
日本で10年くらい仕事を続けていたクライアントに留学のことを相談したら
「ネットでできればいいですよ」と言ってもらえて……。
アムステルダムでは知り合い経由で仕事をしていましたが、
日本みたいに新規の大きな仕事が突然入ってくるってことはなかったです。
名刺やロゴの仕事はあったけど、それは日本でもしてきたこと。
新しいこともしたかったので、
待っていても始まらないと思いコンペに出し始めました。

とあるコンペの概要を読んで、
これならうまくいくかもしれないなって出したのが壁画。
(選ばれて)すごく運がよかった。

オランダではどんな影響を受けましたか?

直線のイラストシリーズは、完全にオランダの影響です。
モンドリアンや「デ・ステイル」(※)のアーティストが大好きで、
私もやってみようと。
ブルーナのようなのも好きだったけど、
新たな表現への挑戦をしてみました。
※モンドリアンが創刊に携わった雑誌と、そのグループによって興った造形運動

どんな生活をしていたんですか?

アムステルダムの居心地は最高でした。
食材の種類が多いので料理の技術が上がって、シメ鯖までも作ってました。
日本だと何でも売っているので、つい買ってしまいますよね?
そういう生活とは一変して、99%自炊。
何でも自分でやるクセがついたのはよかったです。
オランダの農産物輸出量は世界で2位なので、
野菜がとても安く、自炊する意欲も湧きました。
近所に農家直送のマーケットがあって、
週3くらいで買い出ししていました。

オランダといえば自転車というイメージがあります。

自転車だと20分もあれば、ほとんどの用事が終わります。
自分用、通学用の折りたたみ、
ゲスト用と最大で3台持っていた時もありました。
私が通っていた学校は最寄り駅から自転車で20分くらいだったので、
折りたたみ自転車を持って電車に乗って通学していました。
折りたためば電車への自転車の持ち込みは無料なんですよ。

ゲスト用まで持っていたとは!

はい。
それでも足りないときは、
国鉄が運営している貸出し自転車を使用していました。
オランダに銀行を持ってないと作れないのですが、
Suicaみたいなカードを利用して、
ほぼすべてのオランダの駅で1日400円くらいで
自転車が借りることが出来ます。
しかも1人2台までなので、海外から友達が大勢来た時には、
このシステムのおかげですごく助かっていました。

どんな自転車を持ってたんですか?

盗まれたりして何度か変わったのですが、
最初はGazelle(ガゼル)というオランダで一番有名な自転車でした。
お店で修理しようとすると高いチューブを買わされたりして
お金がかかるので、パンクは自分で直せるようになりました。
実際やってみると簡単でしたね。
友達に貸した時に道で盗られてしまったことがあって、
それ以来高い自転車は買わないようになりました。

オランダは町中に素敵な自転車屋があったので、
それらが見られなくなるのが残念。
自転車グッズも充実していました。
私が好きだったのは、昔のオランダの陶器の柄がプリントされたベル。
日本みたいに傘を取り付けるものとかはなかったです。
そもそもオランダ人は傘を差しませんしね。

自転車でどこに行きましたか?

ミュージアムカードというのがあって、年間7〜8千円で
オランダの9割がたの美術館に入れるのがあったんですよ。
欠かさず持っていて、暇があると自転車で行ってました。
遠ければ折りたたみを持って電車に乗ったり、駅で借りたり……。
自転車を使わないという選択肢はあまりなかったですね。

Okada Miyuki chapter1
Okada Miyuki chapter1

<プロフィール>

岡田ミユキ
広島生まれ。武蔵野美術大学視覚デザイン学科を卒業後、グラフィックデザイン、イラスト、装丁を中心にフリーランスとして7年間活動。その後2年間の英国留学と、オランダのSt.Joostマスターグラフィック卒業を経て、アムステルダムで壁画、切絵などの制作活動を加え、2020年に帰国。

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